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FeRAMのエレベータ制御への採用事例
変わるエレベータ制御:
FeRAMの高速・高耐久・高信頼の特長が保守メンテナンスを効率化
エレベータ制御システムは、乗客の安全を確保するために常に正確で信頼性の高い動作が求められます。突然の電源消失などの緊急事態においても、その信頼性を維持することは大きな課題です。ここで、FeRAM(強誘電体メモリ)の優れた特性が大きく役立ちます。
目次
FeRAMの特長と利点
FeRAMは、高速書き込みと高書き換え耐性を持つメモリ技術です。そのため、エレベータ制御システムにおいては以下のような利点があります。
高速データ記録
使用者のエレベータの制御信号、乗客重量、エレベータかごの加速度、位置情報、ブレーキ使用状況、ドアの開閉情報などをリアルタイムで高速に記録できます。
高書換耐性
頻繁なデータ書換が必要なエレベータ制御においても、FeRAMは長期間にわたり*信頼性の高いデータ記録が可能です。
今まで主に利用されていたメモリであるEEPROMは書き換え耐性が100万回の書き換えのため、60秒に1回ログを取得した場合1.9年しか寿命が持ちません。FeRAMは100兆回の書き換え耐性がある製品があり、その場合0.1ミリ秒に1回ログを取得したとしても320年間利用が可能な計算になります。
データ保持性
電源消失時でもデータが消えないため、電源復帰後にすぐに安全な運行を再開することができます。
*2Mbit SPI製品 (MB85RS2MTA)では55℃環境下で95年
エレベータ制御への応用
エレベータ制御システムは大きく二つの方式に分けられます。
- MR (Machine Room)方式:エレベータを別室で制御する方式
- MRL (Machine Room Less)方式:エレベータ内で制御する方式
どちらの方式においても、FeRAMはその高い信頼性と性能を発揮します。また、制御方式に関しては以下の二種類が一般的です。
PLC (Programmable Logic Controller)制御タイプ
従来の制御方式で、ハードウェアベースの制御ロジックを使用。
マイコン制御タイプ
より柔軟でコスト効率の高い制御方式で、ソフトウェアベースのプログラムにより制御を行う。
現在、多くのエレベータ制御システムがPLCからマイコン制御へと移行しつつあり、この過渡期においてもFeRAMの採用が大いに期待されています。特に、新しいシステムへの移行時のコスト削減とともに信頼性を確保するためにFeRAMを利用することが効果的です。
まとめ
エレベータ制御システムにおいて、FeRAMはその高速書き込み、高書き換え耐性、優れたデータ保持性により、乗客の安全を確保するための重要な役割を果たします。MR方式、MRL方式のいずれにおいても、またPLC制御からマイコン制御への移行においても、FeRAMの特性が大きな利点となります。FeRAMの活用により、エレベータの安全性と信頼性を高めるとともに、システム全体の効率性も向上させることができます。