Applicationsアプリケーション
FeRAMのICカード用チップへの採用事例
高速処理×安定通信=FeRAM:
ICカード開発の新たなスタンダードへ
世の中に広く普及しているICカード。身分証や定期券、電子マネー、クレジットカードなど様々な用途に使われていますが、当社はそのICカード用カスタムチップを20年以上に渡って開発・提供しています。累計はなんと2億個以上。ICカードにFeRAMのどのような特長が活かされているのかをご紹介します。
FeRAMの特長と利点
ICカードの中身は小さなPCともいうべきもので、CPUや暗号セキュリティ、メモリ、ストレージ、無線通信などのハードウェアとOSやアプリケーションなどのソフトウェアがワンセットで搭載されています。FeRAMはこの中でメモリとストレージの役割を担っていますが、以下のような利点があります。
利用者を待たせない高速のデータ更新
FeRAMの高速書き込みによりICカード内の残高データや使用履歴、暗号鍵、ソフトウェアなどの更新を瞬時に行うことが可能なため、利用者をお待たせしません。また利用者からは見えませんが、内部動作的には電源断時を考慮したソフトウェア設計が不要という利点もあります。
安定した通信距離
FeRAMはリードとライトの電流が同じで低消費電力という特長を持ちますが、無線通信においてはリードの多い起動時とライトの多いデータ更新時が同一通信距離で動作可能になるため、「起動はするが更新できない」といったエラーを避けることが出来て安定した通信を行うことが出来ます。
書換回数保護不要
ICカードでは内部データは頻繁に更新が行われています。EEPROMでは書換回数上限に達しないように回数を記録して使用領域を変更するなどの保護が必要ですが、高書換耐性のFeRAMはそれが不要なためソフトウェア開発の負担低減が可能です。また予備領域が不要となるためメモリ容量を最大限に使用することが出来ます。
FeRAMは電子マネーの大手ICカードベンダーや大手電機メーカーの社員証など様々なところで採用されています。EEPROMの書き換え速度や書き換え回数がICカード性能のボトルネックになりFeRAMへ切り替えとなったケースもあり、FeRAM導入後は処理速度が非常に速くなり処理によっては2倍以上速度が改善された事例もあります。
まとめ
日常的に使われるICカードにおいて、FeRAMの高速書き込みと低消費電力を活かした通信技術により、利用者の快適な使用感に貢献しています。また、高書換耐性はカスタム開発を依頼されるお客様がOSやソフトウェアを設計される際の開発負荷低減に役立ちます。これらの特長はICカードだけでなく、多くの無線アプリケーションで有用です。